東京パラリンピック2020で正式種目となる競技の1つパラテコンドー。
この競技は、2005年に生まれた比較的歴史の新しいスポーツで、2009年に初めて世界選手権が開催されています。
出場選手は、上肢に切断や機能障がいのある選手が対象となっていて、障害者スポーツではあまり見られない、自身の身体能力だけで戦うフルコンタクトの競技です。
華麗な足技の迫力やスピード感が魅力の蹴り技を特徴とする格闘技ですが、パラリンピックでの基本的なルールはどうなっているんでしょうか?
そこで、今回は正式種目となったテコンドーに注目し、「東京パラリンピック2020テコンドーの日程やルールは?日本代表選手も紹介!」と題して、ご紹介していきます。
東京パラリンピック2020テコンドー日程は?
まずは、テコンドーの日程を見ていきます。
【競技日程】2021年9月2日~9月4日 場所:幕張メッセBホール
9月2日(木)
【10:00~15:00】
- 女子 K44 49kg級1回戦(4試合)
- 男子 K44 61kg級1回戦(4試合)
- 女子 K44 49kg級準々決勝(4試合)
- 男子 K44 61kg級準々決勝(4試合)
- 女子 K44 49kg級敗者復活戦1回戦(2試合)
- 男子 K44 61kg級敗者復活戦1回戦(2試合)
【17:00~22:10】
- 女子 K44 49kg級敗者復活戦1回戦(2試合)
- 男子 K44 61kg級敗者復活戦1回戦(2試合)
- 女子 K44 49kg級準決勝(2試合)
- 男子 K44 61kg級準決勝(2試合)
- 女子 K44 49kg級敗者復活戦2回戦(2試合)
- 男子 K44 61kg級敗者復活戦2回戦(2試合)
- 女子 K44 49kg級3位決定戦(2試合)
- 男子 K44 61kg級3位決定戦(2試合)
- 女子 K44 49kg級決勝
- 男子 K44 61kg級決勝
- 女子 K44 49kg級表彰式
- 男子 K44 61kg級表彰式
9月3日(金)
【10:00~15:00】
- 女子 K44 58kg級1回戦(4試合)
- 男子 K44 75kg級1回戦(4試合)
- 女子 K44 58kg級準々決勝(4試合)
- 男子 K44 75kg級準々決勝(4試合)
- 女子 K44 58kg級敗者復活戦1回戦(2試合)
- 男子 K44 75kg級敗者復活戦1回戦(2試合)
【17:00~22:10】
- 女子 K44 58kg級敗者復活戦1回戦(2試合)
- 男子 K44 75kg級敗者復活戦1回戦(2試合)
- 女子 K44 58kg級準決勝(2試合)
- 男子 K44 75kg級準決勝(2試合)
- 女子 K44 58kg級敗者復活戦2回戦(2試合)
- 男子 K44 75kg級敗者復活戦2回戦(2試合)
- 女子 K44 58kg級3位決定戦(2試合)
- 男子 K44 75kg級3位決定戦(2試合)
- 女子 K44 58kg級決勝
- 男子 K44 75kg級決勝
- 女子 K44 58kg級表彰式
- 男子 K44 75kg級表彰式
9月4日(土)
【10:00~15:00】
- 女子 K44 58kg超級1回戦(4試合)
- 男子 K44 75kg超級1回戦(4試合)
- 女子 K44 58kg超級準々決勝(4試合)
- 男子 K44 75kg超級準々決勝(4試合)
- 女子 K44 58kg超級敗者復活戦1回戦(2試合)
- 男子 K44 75kg超級敗者復活戦1回戦(2試合)
【17:00~22:10】
- 女子 K44 58kg超級敗者復活戦1回戦(2試合)
- 男子 K44 75kg超級敗者復活戦1回戦(2試合)
- 女子 K44 58kg超級準決勝(2試合)
- 男子 K44 75kg超級準決勝(2試合)
- 女子 K44 58kg超級敗者復活戦2回戦(2試合)
- 男子 K44 75kg超級敗者復活戦2回戦(2試合)
- 女子 K44 58kg超級3位決定戦(2試合)
- 男子 K44 75kg超級3位決定戦(2試合)
- 女子 K44 58kg超級決勝
- 男子 K44 75kg超級決勝
- 女子 K44 58kg超級表彰式
- 男子 K44 75kg超級表彰式
東京パラリンピック2020テコンドーの種目やクラス分けは?
【種目】
- ギョルギ(組手):上肢に障害のある選手を対象
- プムセ(型):知的障害選手対象
テコンドーには、上記の2種類がありますが、東京パラリンピック2020ではキョルギ(組手)のみが実施されます。
【クラス分け】
- 男子 K44 61kg級(61kg以下)
- 男子 K44 75kg級(61kg以上75kg以下)
- 男子 K44 75kg超級(75kg以上)
- 女子 K44 49kg級(49kg以下)
- 女子 K44 58kg級(49kg以上58kg以下)
- 女子 K44 58kg超級(58kg以上)
テコンドーは、障がいの程度に応じて重いほうから順にK41からK44まで4つのクラスに分けられ、男女それぞれ体重別に3階級で競い合います。
上記のクラス分けを見ても分かるように、一階級内での体重差が大きいですよね。
例えば、男子75kg級は61kgから75kgまでと14kgもの差があります。
そのため、一般的には体の大きな選手のほうが長い足を活かした攻めで有利ですが、戦術やガードも含めた体の使い方によっては体の小さな選手が勝利を収めることもあり、体格差を問わない戦い方にも注目です。
東京パラリンピック2020では、K43とK44クラスが統合された1クラスのみの実施となっています。
K43:両肘の関節よりも下かつ、両手の関節よりも上の両腕欠損の選手。
K44:片腕に機能障がいがある、または片手の肘から手首から腕がない選手。
※もっとも障がいの軽いクラス
東京パラリンピック2020テコンドーのルールや見どころは?
ここでパラリンピックのルールをご紹介していきます。
東京パラリンピック2020テコンドーの競技コート・試合時間・装具
- 競技コート:八角形
- 試合時間:2分×3ラウンド、インターバル1分
- 装具:ヘッドギア、電子防具、マウスピース、ハンドグローブ
上記は全てオリンピックと同じです。
東京パラリンピック2020テコンドーの基本的なルール
試合での基本的なルールは、オリンピックのテコンドーと同じです。
【試合形式】
試合は2分間のラウンドを3回行い、ラウンドの間にインターバルを1分間設けます。
3ラウンド終了時にポイント数が多い選手の勝利となり、同点の場合はゴールデンラウンドに入り、時間内に先にポイントを獲った選手の勝利となります。
通常は、上記の通り3ラウンド終了時にポイントの多い選手が勝利となりますが、強制的に勝敗が決まる場合もあります。
- 第2ラウンド終了時または第3ラウンド中に12点以上の差が開いた場合。
- 反則が累積10点となり、相手選手の失格によって勝利となる場合。
- 相手選手が倒れて主審の10カウント後もファイティングポーズを取ることができずKO勝ちになる場合。
- ゴールデンラウンド終了後も同点で審判による優勢判定で勝敗が決まる場合。
- 相手選手のセコンドが試合を中止させることによるTKO勝ちの場合。
- 相手選手の棄権による不戦勝の場合。
※上記の場合は、強制的に勝敗が決定します。
【蹴り技によるポイントの種類】
ポイントとして有効な蹴りは、通常の蹴りは2点、180度の回転が加わった後ろ蹴りは3点、後ろ蹴りから軸足を入れ替えて計360度の回転蹴りは4点です。
回転蹴りの回転度数によって点数を分けるというのはオリンピックにはなく、パラリンピックならではのルールで、360度の回転蹴りが4点となったのは2017年からとまだ新しいです。
また、技の有効性の判定は、選手が胴部に装着した電子防具で行われます。
正しい位置に正しい強さで蹴りが入るとポイントが加算されますが、しっかりと蹴らないと得点にならないため、いかに相手のガードをかいくぐって、強烈な蹴りを決めるかがポイントです。
【反則】
- 競技エリアから片足が出た場合。相手をつかんだり、抑え込んだり、倒れこんだりした場合。
- 膝での攻撃や頭突き、足を踏むなど、胴体以外の部分へ攻撃した場合。
- 相手をつかんで投げたり、突き飛ばした場合。
- 審判の「止め」の合図がかかってからの攻撃や、倒れた相手へ攻撃した場合。
- 相手の顔面を攻撃してしまった場合。
- 選手又はコーチによる不品行な言動や競技の進行を妨害した場合。
- 主審が注意して1分間従わなかった場合、負けを宣告できる。
※反則を取られた場合は、相手に1点与えられ、累積が10点を超えると、得点に関わらず相手の勝利となります。
東京パラリンピック2020テコンドーの特有のルール
パラリンピック特有のルールとして、
- 突き技はポイントにならない(手による突き技は決まってもポイントにならない)
- 頭部への攻撃は禁止(胴体への3種類の蹴り技だけが有効となっています)
東京パラリンピック2020テコンドーの見どころ
テコンドーは、豪快で華麗な足技が魅力で、その迫力やスピード感は見応えがあり、選手同士がフルコンタクトでぶつかり合う競技です。
パラリンピックでは、選手一人ひとりの上肢障がいの程度が異なるので、体の使い方にも個性や工夫が見られ、戦うスタイルが変わってきます。
選手は自身の特性だけでなく、対戦相手の特性も見極め、どう防御し、どう攻撃するのかというように、障がいがあるがゆえに幅広い戦略と駆け引きが生まれ、それがパラテコンドーならではの見どころにもなっています。
東京パラリンピック2020テコンドーの日本代表選手(メンバー)は?
パラテコンドーに出場する日本代表選手をご紹介したいと思います。
太田 渉子(おおた しょうこ)
- 生年月日:1989/07/27
- 出身地:山形県
- 身長:164cm
- 体重:58kg
- 出場予定種目:テコンドー女子58キロ超級(上肢障害)
- 所属:ソフトバンク
太田選手は、過去に冬季パラリンピックに出場していてメダルも獲得している選手ですが、今回のテコンドーは初出場となります。
しかも、2016年に趣味で始め、2018年4月から本格的に競技として取り組み始めて3年で冬季パラリンピックとは全く違う競技で、夏季パラリンピックにも出場とは凄いですよね!
【過去のパラリンピックの主な戦績】
- 2006年:トリノ冬季バイアスロン12.5km銅メダル
- 2010年:バンクーバー冬季クロスカントリースキースプリントクラシカル1km銀メダル
田中 光哉(たなか みつや)
- 生年月日:1992/07/22
- 出身地:福岡県
- 身長:176cm
- 体重:68kg
- 出場予定種目:テコンドー男子61キロ級(上肢障害)
- 所属:ブリストル・マイヤーズスクイブ
田中選手は、体重が68kgとありますが、クラスは61kg級。
それに関しては、
61kg級を目指すべく、3か月程度で14キロ落とした。
「61キロ級では自分は比較的、身長が高いほうなので世界で戦うには有利でしたし、75キロ級よりも勝てる自信があったんです」
出典:webスポルティーバ
という記事がありました。
そのため、今の体重は50kg台ということでしょうか。
ちなみに、田中選手がパラテコンドーを始めたのは2017年からだそうですよ。
始めて1年足らずで国際大会でも優勝する実績の持ち主ですから、パラリンピックも楽しみですよね!
- 2018年:キムウンヨン国際パラテコンドーオープン ソウル K43 M -75 kg 優勝
- 2019年:U. S.オープンパラテコンドー 選手権 ラスベガス K43 M -75kg 優勝
- 2020年:サンマリエカップ 東京 K44/43 M -61kg 優勝
工藤 俊介(くどう しゅんすけ)
- 生年月日:1993/10/31
- 出身地:岐阜県
- 身長:180cm
- 体重:73kg
- 出場予定種目:テコンドー男子75キロ級(上肢障害)
- 所属:ダイテックス
工藤選手がパラテコンドーを始めたのは、2018年から。
その翌年の2019年には、トルコで行われた世界選手権の男子-75kg級で銅メダルを獲得し、2020年1月に行われた東京パラリンピックの代表選手最終選考会で-75kg級で優勝しています。
たった競技歴2年でパラリンピックの舞台に立つまで実力を付けてきています。
【主な戦績】
- 2018年:第11回全日本テコンドー選手権大会(千葉)パラ男子-75kg級 優勝
- 2018年:キムウンヨン国際パラテコンドーオープン大会(ソウル)男子-75kg級 優勝
- 2019年:第8回世界パラテコンドー選手権大会(トルコ)男子-75kg級 3位
- 2020年:サンマリエカップ 東京 K44/43 M -75kg 優勝
太田選手、田中選手、そして工藤選手の活躍が楽しみですね♪
まとめ
今回は、東京パラリンピック2020で新種目として採用されるパラテコンドーについての日程やルール、日本代表選手をご紹介していきました。
オリンピックと基本的には同じ舞台で競技が行われますが、ルールに関しては、パラリンピック特有のルールもあり、色々とまとめてみました。
日本代表選手は3人とも、競技歴が浅い中でもパラリンピックという大舞台に立つわけですから、競技に対するセンスも持ち合わせていると思いますし、どんな試合を見せてくれるのか楽しみですね。
足技のみを使った華麗でスピード感のある攻防は見応えもありますし、オリンピックにも引けを取らないと思いますよ!
初代王者を目指して、日本人代表選手には頑張ってもらいたいですね♪
最後までご覧いただき、ありがとうございました。